対税型の特別清算
特別清算とは、債務超過(借金が財産より多いこと)の疑いがある会社が、裁判所の監督下で清算業務を行う手続きです。
対税型の特別清算とは、税金対策のための特別清算で、次の様なケースで利用します。
- 親会社から子会社へお金を貸している。
- 子会社の債権者は親会社のみ。
- 子会社は債務超過(親会社へ借金を返済できない)
会社の清算は資産と負債(財産と借金)が0にならないと終了しません。
上記のケースでは、子会社が親会社へ返済できない部分の借金を免除することが必要になります。
例)子会社の資産 預 金 100万円
子会社の負債 借入金 1000万円(全額、親会社へ対するもの)
上記の例では、100万円しか返済できないので、残りの900万円は親会社が免除しないと清算手続きは終わりません。
ただし、単純に免除してしまうと、税務上のリスクが生じます。
お金を貸していた取引先が倒産して900万円回収できなかった場合は、会社の利益から900万円を損失(費用)として控除することができます。ところが、子会社に対する貸付金の場合は、そう簡単ではありません。
親会社は子会社の株主ですので、子会社を自分の思うように動かすことができます。そのため、本当に回収できなかったのか、免除した金額は適正だったのか等の税務上の問題が生じてきます。仮に税務上認められないことになると、親会社は貸したお金が戻ってこない上に、回収できなかった900万円も損金(費用)にすることができません。
そこで、対税型の特別清算を利用し、特別清算手続きの中で借金を免除します。特別清算は裁判所が関与するため、親子会社間の借金免除でも損金として認められます。
対税型の特別清算は、債権者が一人(または少数)、かつ、必ず債務免除の同意が得られるため、期間も費用も通常の特別清算より少なくて済みます。費用、債権額、税務リスクを考慮して、特別清算を利用するかどうかを選択することになります。
ただし、対税型の特別清算でも損金として認められない可能性もありますし、債務者(子会社)側の税務についても検討する必要があります。実行前には、必ず専門家へ相談してください。
2012年1月30日