持株会社の中小企業における利用価値
最近、中小企業でも持株会社をよく見かけるようになりました。○○ホールディングス、○○グループ本社というような社名が多いようです。
持株会社とは、簡単に言うと他の会社を支配するための会社です。グループ内の会社の株式は全て持株会社が所有し、一般の株主は持株会社の株式を所有します。下図の様なイメージになります。
個人株主 → 持株会社 → 子会社A、子会社B、子会社C.....
持株会社を採用することにより、迅速な意思決定が可能になる等のメリットがありますが、中小企業の場合はオーナー企業のため事業承継を目的に行われることが多いです。
例えば、各社の株式を個人がそれぞれ所有している場合、相続時に株式が分散し各社の株主数が増加するため事業に支障をきたしてしまいます。また、相続税対策が行いやすいというメリットもあります。複数社の対策を行うことは処理が煩雑になってしまいますが、持株会社化してしまえば持株会社のみ対策を行えば済む場合も少なくありません。
持株会社を作るための手法は、株式移転、株式交換、会社分割、株式売買等複数の手法がありますが実行時のコストと手間を考慮し手法を決定していきます。
ただし、実際は、子会社同士で株を持ち合っていたり、一部だけ個人株主であったり、図にしてみないと持株関係が把握できないほど複雑なケースの方が多いようです。そのような場合は、上記の手法のみでは簡単に持株会社を作ることは困難ですので、各種組織再編手法を利用しながらコストを最小限に抑えつつ、最終形へと近づけていくことになります。この作業はパズルを解く様な感じで私の好きな仕事の一つです。
事業承継対策には、今回の持株会社も含め様々な手法が必要になってくるため、この分野も他士業との連携がとても重要になってくる分野になります。
2012年2月6日